唾液とそのはたらき
Share
浄化作用
唾液には口腔内を浄化するという重要なはたらきがあります。
1mlの唾液が、濃く食う内の細菌を90億個も取り除きます。
ところが睡眠中は唾液の分泌速度が非常に遅いため、口腔内細菌は朝(寝起き時)に最大となります。
起床時に口臭を強く感じることが多いのは、このことが深く関係しています。
エナメル質の溶解防止
食物(主に糖・炭水化物)を摂ると、口腔内の細菌はこれらを代謝して酸を生成します。
細菌が生成する酸や、食べ物や飲み物の中に含まれる酸が、歯のエナメル質を溶かしてしまいます。
エナメル質が酸によって溶け出す現象を、歯の脱灰といいます。
唾液には、口腔内の酸を中和し、正常な状態(中性~弱アルカリ性)に戻すはたらきがあります。
また、唾液に含まれているカルシウムイオンとリン酸イオンが溶けた歯のエナメル質の中に戻ることで、歯の再石灰化(エナメル質の修復)が促進されます。
唾液不足によって起こる症状
唾液の分泌速度の低下が原因で起こる症状に、ドライマウス(口腔乾燥症)があります。
唾液の分泌量が減ると、口の中が潤わずネバつきを感じたり、パンなどの乾いた食べ物が食べにくくなります。
症状が進行すると、唾液による口腔内の洗浄作用が低下するために、プラーク(歯垢)がつきやすくなり、う蝕(むし歯)や歯周病の原因となります。さらに舌のひび割れや痛み・口臭の悪化・摂食障害・味覚障害・発音障害などが現れることがあります。
ドライマウスは女性に多い症状といわれていますが、薬の副作用やストレス・緊張による交感神経の刺激などが原因で起こります。また、病気や年齢による唾液量の低下も原因となります。口呼吸が習慣化すると唾液が蒸発してしまい、乾燥を感じる場合もあります。
ガムを嚙む効果
唾液分泌量が少ない人は、ガムを噛むことでもある程度補うことができます。
糖分を含まないシュガーレスガムがおすすめですが、糖分を含むガムであっても、噛まないよりずっと効果はあるそうです。
また、キシリトール入りのガムには歯の再石灰化を促進する効果や抗菌作用もあり、口腔内メンテナンスの助けになると言えるでしょう。
口腔内の乾燥が酷い場合には、歯科で相談し、唾液分泌量検査をして、薬物療法や唾液腺のマッサージなどの治療を行うことも必要になります。